日本語文書を作成するためのさまざまな支援機能を備えた“日本語のための”ワープロソフト。三つの作業モードや豊富な図形を使って、完成度の高い文章を作れる。
「一太郎2005」は、変換精度の高さと文字入力支援に定評のある日本語入力システム「ATOK2005」を搭載したワードプロセッサ。今回のバージョンアップでは、二つの文書を比較して相違点を表示する機能や、現在開いている文書と関係のある文書を開く機能などが追加されたほか、アウトラインモードや図形、文書校正といった機能の強化も図られた。
「一太郎」には、通常のワープロのスタイルである「基本編集」のほかに、3段階のアウトラインレベルを設定できる「アウトライン」、利用目的や文書を見せる相手に応じて見える内容を変えられる「マルチビュー」を加えた三つの作業モードが用意されている。「一太郎2005」ではこのうち、「アウトライン」の機能が強化された。アウトラインモードにプレビュー画面が追加され、実際の文書の体裁を確認しながら作業ができるようになった。また、プレビュー画面での編集も可能になった。
図や表を駆使した、見やすくわかりやすい文書を作る機能も充実している。矢印や吹き出し、多角形、円などのテンプレート図形が豊富に用意され、使いたい図形のアイコンをクリックするだけで、簡単に文書に図形を貼り込むことができる。矢印の内部に文字を書き込める「文字枠付き矢印」も使える。罫線表も、罫線表の右寄せ/左寄せ/センタリングをボタンひとつで行える機能が加わった。
さらに、二つの文書を比較して、相違点を表示する機能も追加された。これは、文書中の文字列・罫線・軌跡・文字枠の表示文字列を比較するもので、全角/半角、大文字/小文字なども相違としてカウントされる。相違点があった場合には、変更された行が水色の背景で、追加された行はピンクの背景、削除された行は赤線でといったように、行単位で示される。相違点には通し番号が付けられ、通し番号をクリックすることで相手ファイルの該当部分に移動できる。
現在開いているファイルと関係するファイルや似た名前のファイルを探し出して開く、という機能も「2005」からの新機能だ。関係するファイルとは「その文書の元になったファイル」「その文書と同時に開いていたファイル」のこと。似た名前のファイルを探す機能では、開いているファイルのファイル名を検索文字列とした検索が自動的に実行されるが、あらためて検索文字列や検索対象フォルダを指定することも可能だ。また、よく使うフォルダやファイルを登録しておくこともできるので、必要なファイルをいつでもすぐに開けるようになっている。
誤字・脱字、表記ゆれ、スペルチェックなどの高度な文書校正機能、「Microsoft Word」との文書互換性も一層の強化が図られた。文書校正機能では市町村合併によって変更された市町村名のチェックも可能。さらにUTF-16(サロゲートペア)に対応し、JIS X 0213対応フォントも使用できるようになった(JIS X 0213は登録ユーザに無償で提供される)。
日本語入力システム「ATOK2005」にも、さまざまな新機能が追加された。そのひとつが「訂正学習機能」。これは、間違って入力して修正した単語を「ATOK」が学習し、同じ間違い入力をした際に、修正後の単語を変換候補としてしてくれるというもの。例えば、「お願いします」と入力しようとして、「尾根ギアします」など打ってしまい、その後正しく修正すると、次に「尾根ギアします」としてしまっても、「お願いします」と変換できるようになる。
また、単語の一部分を入力した段階で次に続く文字を推測する推測変換が、日本語だけでなく英語でも行えるようになったほか、入力した言葉から連想される文字列に変換する連想変換も、英文に対応した(「ありがとう」の連想変換を行うことで「Thank you very much.」などと変換できる)。もちろん、最新の時事用語、カタカナ語などの辞書強化も一段と進み、効率的な日本語入力を行えるようになっている。
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花子2005
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文章と図を使って、ビジュアルドキュメントを作成できるソフト。文書に図を挿入することで、メッセージをより明確に伝えられる。フォトレタッチツール、画像管理ツールも同梱されている。
「花子2005」は、文字を入力するだけで自動的に図ができる「オートチャート」機能など、簡単な操作できれいな作図を行える統合グラフィックソフト。450種類以上のテンプレートうや、11,400点を超える豊富な部品を使い、思い通りのチャートやグラフ、地図などを描ける。
メイン画面は、描画エリアと、縦型に配置された「クリップウィンドウ」からなる。クリップウィンドウには、図形部品や画像が格納されている「コンテンツ」、文字や図形などの描画ツールのある「作図」、カラーや変形を設定する「編集」、オートチャートやブロック図形を作成する「図解」などのシートがまとめられている。シートはタブ切り替え式で、最大9枚までをクリップウィンドウに置くことができる。シートの表示順や名前は、ユーザが自由にカスタマイズすることが可能だ。
図の描画は非常に簡単。各シートから使いたい部品や描きたい図形を選択し、描画エリアに配置または描画するだけと、直感的に操作できる。特徴のひとつが、自動的に作図できる「オートチャート」「ブロック図形」だ。
- チャートやグラフなどのブロック図形のスタイルを選択
- 各要素に書き込む文字列を入力
- カラーセットの指定
の3ステップだけで、図が完成する。円グラフや帯グラフの作図では、各要素の大きさをマウスのドラッグ&ドロップで調節することができる。
部品や画像も豊富に用意されている。これらは「基本図形」「チャート図」「ビジネス」「学校・教育」のように、カテゴリーで分類されている。もちろんキーワードで検索することも可能だ。テンプレートをもとにした文書作成も簡単だ。
初めての人にもわかりやすい、親切機能が多数用意されていることも特徴のひとつ。選択してる機能の説明をクリップウィンドウ内に表示する「ガイドインフォ」や、アイコン上にポインタを合わせると説明が表示される「アプローチインフォ」、機能名でなく“やりたいこと”で機能を指定する「Doメニュー」などがそれだ。また、目的ごとのチュートリアルである「レッスン花子」という機能もある。
他のアプリケーションとの連携も図られている。「PowerPoint」データの読み込みが可能で、図形は種類ごとに読み込むことが可能。背景ページも読み込める。作成した文書のPPT形式での保存も可能だ。また、「花子」で作った図形を「一太郎」で編集することができるほか、別売の「速攻!全国ゼンリン地図帳」と連動して、「花子」上でオリジナルの地図を作る機能も追加された。
周辺ツールとして、フォトレタッチソフト「花子フォトレタッチ3」、画像ファイル管理、ファイル形式の一括変換を行える「デジビュー2.0」が同梱されており、自分で撮影したデジカメ写真などを「花子」上で使うときの手助けをしてくれる。