作った文書をそのまま印刷するだけで満足していますか? 「この文書のこのページと、別の文書のページを1枚の紙に印刷できたらなあ」と思うことはないでしょうか。そんな便利な機能を持った印刷用ツールがあります。しかも、複数ページを1枚に印刷できるため、用紙代も節約できて一石二鳥です。こうした印刷ツールを使えば、通常のアプリケーションではできない印刷を実現したり、印刷ランニングコストを抑えたり、ラベルや名刺も簡単に作れたりします。ここではそんな“使える印刷ユーティリティ”を紹介します。
■[part1] コスト削減に!便利な印刷ユーティリティ徹底比較
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縮小プリント4
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「縮小プリント4」は、1枚の用紙に文書の複数ページを印刷して用紙を節約できるソフトです。1枚の用紙に最大6ページまで印刷することが可能です。仮想プリンタとして動作し、アプリケーションと実際に印刷を行うプリンタとの中間で印刷データを縮小するため、印刷機能を持つアプリケーションのほとんどで使うことができます。単なる縮小印刷だけでなく、複数のアプリケーション文書(例えばWordとExcelなど)をまとめて印刷したり、不要なページだけを取り除いて印刷したり、同じ文書を繰り返し印刷したりといった機能も備えています。また、通常の印刷ではWebページを印刷するときに右側が切れてしまうケースがありますが、Internet Explorerと連携して適切なサイズに自動縮小する「かんたんホームページプリント」という機能も搭載しています。
さらに、印刷ジョブを保存することも可能で、実行形式のファイルにすることもできます。実行形式のファイルに保存すると、「縮小プリント4」がインストールされていないパソコンでも縮小した状態で印刷することが可能で、印刷物を第三者と共有することも容易です。
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エコぷりんと
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最大12ページまでを1枚の用紙に印刷して用紙を節約しようという、欲張りなソフトが「エコぷりんと」です。やはりプリンタドライバとして動作するので、ほとんどのアプリケーションから使うことができます。複数アプリケーションの文書をまとめて印刷することも可能で、不要ページの削除や任意の位置に白紙ページを挿入する機能も備えています。「エコぷりんと」には、他の同種ソフトにはないユニークな機能として「カラー透かし印刷」があります。用紙全体に「社外秘」「持出禁止」などといった文字を薄く透かしのように印刷できる機能で、透かし文字は自由に編集・追加することが可能です。また、透かし文字のサイズや色、色の濃さ、フォント、印刷文字列の傾きなども設定できるようになっています。
印刷イメージをBMP/TIFF/JPEG/GIF/PNGなどの画像ファイルに保存することもできます。画像ファイルとして保存することで、アプリケーションのない環境でも印刷イメージを参照できるようになります。
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inksaver 2.0
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プリンタのランニングコストには、用紙のほかにインクがありますが、「inksaver」は印刷時のインク濃度を調節して、インクを節約するソフトです。印刷時の解像度は変えずにインク濃度だけを変えるため、印刷品位を下げることなく、インクを節約することができます。インク濃度の設定は、設定画面のスライドバーを動かすだけと簡単。任意の濃度に設定できます。インク濃度による印刷結果を比較できるテスト印刷の機能もあるので、どの程度の濃度にすればよいかもわかりやすくなっています。タスクトレイアイコンの右クリックメニューからも大まかな濃度指定を行えるほか、一時的に「inksaver」の機能を無効にすることもできます。
インク濃度の変更によって、どのくらいインク代を節約できるかのシミュレーションも可能です。インクの価格や使用本数を設定しておくと、濃度設定のスライドバーを移動させるのと連動して、カートリッジあたりの節約額、年間の節約が表示されるため、印刷結果と節約額の兼ね合いを見ながら濃度を決めるとよいでしょう。
■[part2] ラベルも名刺もラクラク印刷
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ラベルマイティ5
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CDやDVD、MDのラベルや名刺、カレンダー、シール、ファイルの背表紙など、あらゆる種類のラベルを簡単に印刷できるソフトです。対応している用紙は70社12,000種、デザインテンプレートも25種6,200点が用意されています。作りたいラベルの種類と用紙、デザインテンプレートを指定するだけのわずか3ステップの操作で、きれいなラベルを作ることができます。もちろんデザインを一から自分で作ることも、またテンプレートを自分流にアレンジすることも可能。文字の位置を変えたり、フォントを変更したりも簡単に行えます。飾り文字を利用できるほか、文字単位で色やフォントを変更することも可能です。手持ちの写真を貼り付けることも、その写真の透明度を指定したり、フチをぼかしたりといった加工を施すこともできるようになっています。付属のレタッチツールを使って自分で絵を描くこともできます。
CDDBとの連携でアルバムタイトルや曲名をインターネットから取得したり、携帯電話用のQRコードを作ったりという便利機能も備えており、誰にでも手軽におしゃれなラベルを作れるソフトです。
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Check Point
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昔話になりますが、パソコンが登場したころ、「これでもう印刷の必要はない、紙を使うことは少なくなる」などと言われました。ところが実際には、印刷の機会はそれまでよりもずっと増え、紙の消費も上がっています。そんな状況で、用紙やインクのコストはバカになりません。これらを節約するのは大切なことといえるでしょう。今回紹介したツールは、用紙やインクを節約する機能を持ちますが、それだけではありません。より便利に、よりきれいに印刷するための“役に立つ”ソフトです。インク濃度にしても、用紙や文書によっては濃度を薄くした方がきれいな印刷結果が得られることもあるのです。
印刷物は、それを作った人の“顔”ともいえるもの。これらのツールを使って、読む人、見る人にも満足してもらえる印刷にチャレンジしてはいかがでしょう。
(土屋 佳彦)